2025/01/20 13:03

初めまして、中東パレスチナ×日本のカワイイを届けるお店「架け箸」です。

このオンラインストアに加え、マルシェやイベントでの対面販売と、全国各地のお店へ卸販売を行っています。
Photo by @paso_cafe

ここでは、パレスチナ雑貨を専門に扱う理由、お店を始めたきっかけをお話ししたいと思います。

あったかホストファミリー

店主の私は大学4年生の時(2018年夏)、パレスチナのヨルダン川西岸地区のヘブロンという町でホームステイをしました。
一つも耳馴染みが無いと思いますが、温暖で、ぶどうが特産、商業も盛んなところで、私はホストファミリーに迎え入れられます。

初対面でさすがに緊張していた私をよそに、初手から超普通に「前からいた子」のように扱ってくれる彼ら。
緊張もほぐれ、週末の度に集まってくる親戚とのやり取りが楽しくて(ご馳走を囲んだり夜更かししたり踊ったり)、すっかり故郷のように感じるようになっていきました。
なのにパレスチナはいつでも「紛争地」という枕詞付きで登場して
「危ない場所」「行かないほうが良い」「ずっと揉めている」などと思われがちです。

「私が見た」パレスチナには前評判との大きなギャップがありました。

パレスチナの現状

実際のところ、パレスチナは世界の大多数の国から国家として承認されていますが(国家として独立するという約束を1994年に結んでいます)、自決権(自分達のことを自分達で決める権利)があるとは言えない状況です。

私が訪れ、今もホストファミリーや生産者が暮らすヨルダン川西岸地区へは、いつでもどこでもイスラエル軍が侵入できます。
入植地と呼ばれるイスラエルの飛び地が点在していて、パレスチナの地域住民が移動するのも一苦労です。
ホストファミリーの家の周りはまだ安全に思えましたが、郊外に離れれば離れるほど、毎日のように入植者や軍隊と対峙しているコミュニティもあります。
(関連資料「日々誰かが「あっけなく」殺される社会」https://d4p.world/25273/ NPO法人Dialogue for People

2023年10月から始まったガザ地区への攻撃の隣で、西岸地区でも、水を得た魚のように入植者と軍隊が暴れ、21世紀に入って最も大きな犠牲が出た期間になりました。
更には、毎日のように道の通行止めをされ、材料を買うなどの生産者の移動も困難を極め、あらゆる物価が上がったそうです。
生産者から送られてきた通行止めによる渋滞の写真

他方ガザ地区は、15カ月間にわたる攻撃で数え切れない犠牲者と遺族、そして瓦礫とゴミの山、汚染された土地が残りました。
元々、パレスチナの独立が約束されてからも西岸地区同様に入植地や移動の問題があり、入植地が引き揚げられてから、地区丸ごと封鎖され、人も物も出入りがほとんどできなくなっていました(2006年~)。2020年には人が住める環境ではなくなる、と国連が報告書を上げていたくらいです。
でも、NGOスタッフとしてガザに入ったことがある友人曰く「西岸よりも一段とホスピタリティの厚い場所だよ」と。


フェアトレードで輸出するのは”存在”

パレスチナでのホームステイを経て、人や町、文化の魅力を沢山浴び、紛争地ではなく占領下の現実も見聞きして、何ができるだろうと考えました。

社会に出てもちゃんと繋がり続けるには、片手間では難しいと思い、仕事としての関わり方として「フェアトレード」に辿り着きました。
大学でフェアトレードとそうじゃないトレード(買う側が強くて、買い叩いて生産者の生活を圧迫したり、本来の価値や労働への対価を無視した価格設定をすること)について学んだことがあったので、私にとっては「もちろんフェアトレードっしょ!」と馴染んだ手法でもありました。

でもそれは単にフェアに交易する、というだけじゃなくて、
その土地に生まれただけなのに何もかも制限されて、そこで生きることを否定されて、
それでも明るく不屈の精神で日々を送る現地の人達の存在を輸出したいと思ったんです。
こうして2020年2月、架け箸は創業しました。
人も文化も自然も命も、ごく当たり前にリスペクトされる世界を目指して
これからも暖簾を掲げて皆様をお待ちしております。

◆最初に製作したオリジナル商品